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子ども

アパートから徒歩30秒のところにコンテナカフェがある。私のアパートの大家さんが今年度に入って本格始動したもので、大学生と地域住民をつなぐ空間をコンセプトにやっているという。(私が描いている地域図、コミュニティデザインとぴたりと当てはまる。)普段はコーヒー屋さんで、学生がフリマをしたりパスタ屋さんを開いたりと一日店長にもなれる空間で、8人も入ればキュッと人の近さを感じる(でも決して近すぎない)コンパクトさが良い。店員さん、というかオーナーがひとり待ち構えてくれているから、私は外の空気を吸いに出かけるくらいの気軽さで、500円玉を握ってiPadを片手に作業しに行く。自室で行き詰まったとき、ふらりと気分転換に引っ越せるこの空間にすごく助けられている。

隅っこの窓側の小さなテーブルが私の特等席で、金谷川駅へ向かう講義終わりの学生を横目に、作業に取りかかる。そこにオーナーがアートの施された飲み物を添えてくれる。コーヒーの美味しさはなんとなくしかわからないし、名前の響きで注文しちゃうような、まだまだ子どもの舌だけど背伸びはしたい。背伸びがしたい。

今日はブラジルショコラをいただいた。オーナーが上着のポケットからカントリーマアムを取り出して、そっと私のテーブルに置いてくれた。セツコ、それ、非常食や。ほっこりありがたいものです。夕飯のおかずの鶏肉をお客さんにあげちゃうばあちゃんを思い出した。

偶然、大家さんに会った。お久しぶりだったのにアパート住民と認識してもらった。お話するたびに、この方が私の初めての一人暮らしの大家さんでよかったと思う。良い人が滲み出ている。会計のとき、佐藤さん(大家さん)が代わりに払ってくれましたよ、とオーナー。わわわわ、と畏れ多くて震えながら大家さんにお礼のメールをすると、顔文字ひとつ。かっけー。かっけーよ。こんなスマートな大人になりたいよ。