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ななな

今日も先生と二人きりの講義だった。講義というより、私の拙い中国語に先生が付き合ってくださる時間といった方が正しい。いつもはもうひとり、彼がいて、三人で中国語や日本語でお話をする。

生徒のどちらかが休むと、なかなか大変だとわかった。こちらも、あちらも。先生からの問いかけが聞き取れないとき、助けを求められないし、時間稼ぎをしてくれる人がいないから、単語の音を噛み砕いて脳内を駆け回る間先生を待たせてしまう。だから、火曜日と金曜日は万全な体調でのぞみたいと思った。

先生は中国のとある山里出身で、そこは北朝鮮とロシアと近いところらしい。200人弱の人々が生活していて、季節を存分に感じられる地。春は山菜、こごみ、秋は栗、くるみ、梨。手入れをしなくても梨がなってしまうというから驚いちゃうや。所有者はいないからそういった自然の恵みは早い者勝ちだけど、取れる人が取って、取れない人は取らない、でも別に争いが起きるわけでもなく平和なんだとか。先生の話す中国は、私が勝手に描いている中国の、美しい側面を魅せてくれるからもっともっと聴きたい知りたい。

生まれ育った地は、体が慣れている。水、空気、湿度、雪、花粉。免疫力、耐性。
確かにと思った。実家に帰るとにきび(20歳を超えたから吹き出物、か)がきまってよくなる。先生の言葉を借りれば、肌が慣れているんだろうなあ。

季節を感じられる地に帰りたくなった。